第一志望の傾向
令和8年3月の公立中学卒業予定者 (令和7年度現在の公立中学3年生) は、77,555名で、前年を301名下回ります。公立中学3年生の数は、4年後(現小学5年生が中学3年生になる年度)に約8万人でピークに達したあと、そこから8年間で約18000人急減、さらにその後3年間(現2歳児、1歳児、0歳児)も減少が続きます。都立全日制高校第1志望者の割合は連続して減少しています。一方、私立全日制高校(国立・他県含む)第1志望者は2年連続して増加しました。17年前のリーマンショック以降、都立第1志望者の割合は70%台でしたが、8年前に私立志望者が増加し、その後さらに私立高校への流れが進み、今年度はその流れが一気に加速しました。最近の9年間で、中学校の1クラス(30~40名)あたり平均で3名程度が都立高校から私立高校へ第1志望先を移したことになります。要因は、東京都版の私立高校の授業料軽減の拡張策(対象になる家庭年収の上限が760万円→910万円→制限なし)での実質授業料無償化(大阪府も制限撤廃、次年度は全国に適用される予定)や、私立高校の入試相談制度(コロナ禍で早く合格を決めたい心理と結びつく)にあると推測できます。
ただ、都立か私立かという選択以前に、そもそも全日制高校以外(定時制、通信制)への進学を希望する生徒が以前より増えているという事実もあります。東京都教育委員会の就学計画では、今のところ全日制高校への計画進学率を93%としていますが、実際の進学率が86.4%で、欠員が生じている都立全日制高校も多くあることから、今後は全日制高校の受け入れ枠を少しずつ減らす動きが出てくることも予想されます。
実際、私立通信制高校を志望する生徒は増え続けています。平日に通学するタイプ(週1日・3日・5日など)や、ネットを活用した授業形態、多様な授業内容は、コロナ禍を経てさらに生徒や保護者からの人気が高まっているということでしょう。
都立高校の現状
都立高校の学科別に志望者数の前年比較をしてみると、普通科は約820名減少、商業科は90名減少、工業科は60名減少、農業科は70名減少、家庭科は微増、総合学科は微減となっています。令和5年度に「工業高校」を先進的で魅力ある専門高校に相応しい名称である「工科高校」に変更しましたが、倍率は改善されていません。東京都の小池百合子知事は「現場で働く魅力の発信や生徒の育成を充実させ、各種業界団体との連携も強化する」と、工科高校のイメージ刷新のための施策に意欲的な姿勢を示しており、今後の動きが注目されます。倍率が落ち着いている例として、小山台・井草・日本橋などがあり、復調してきている例として、田園調布・目黒・南葛飾・国分寺など、また新校舎効果も加わって堅調な例として、豊島・江北・竹台・城東などが挙げられます。他にも、上野・江戸川・晴海総合・工芸などは安定した人気を保っています。逆に、志望者が減っているのは、広尾・小岩・文京などです。
普通科以外では、専門色がはっきりと伝わる学科や、時代の要請 (グローバル化・情報技術化・デザイン・美術・舞台表現・動物・環境系…)に即した学科、身につけた資格・技術・感性が自身の一生を充実させたり豊かにさせたりすると思える学科は人気があります。 例としては、国際・工芸(デザイン・グラフィック)・園芸(動物)・瑞穂農芸(畜産)・墨田工科(自動車)などが挙げられます。
都立高校の今後の動向
校舎改築途中の学校や計画段階に入っている学校は、志望者の動向に影響を及ぼします。高校3年間の学校生活を念頭に置けば、グラウンド整備や各種施設改修の状況も重要です。すでに校舎・施設・グラウンドが完成している学校としては、江北・竹台・豊島・南葛飾・城東・小岩・篠崎などがあります。都立定時制単位制高校 (昼夜間定時制)は、生徒の多様性・不登校・学び直しへの対応が期待でき、居心地のよさなどもあり、中退率の低下にもつながっています。チャレンジスクールとして、令和7年度に立川緑が開校され、普通科とは違う特色のある教育が期待されています。